数学する精神

数学する精神―正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)

数学する精神―正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)

読んだ。2年前に買ったままずっと積読*1になっていたが、積んでから読んだらよくわかるようになっていて、たいへん面白かった。

数学というと、どうしても「人間に関係なくすでにあるもの」というイメージがある。高校までの数学はどうしてもそういう範囲のところしか扱わない、あるいは扱えないので、「提示されたものを理解してその上でごにょごにょ計算している」いや「させられている」という気持ちをもつ。だから嫌になってしまう人も多い。

でも実際は、数学というものが発明され広まっていく歴史にはものすごいダイナミズムがあって、数学は人間に関係なくすでにあるものではなく、人間の思考によって発展し、考えられてきたもので、しかもそれは近年さらなるスピードで進化している、という感じだと思う。ちょうどいま自分が研究で扱う数学の分野が近いので、楽しく電車で読了。

高校生や大学生に勧めたいなと思ったのだが、ぼくがこれを読めたのは一応哲学畑のはしくれで育ち、「数とは何か?」みたいな議論自体は好きというのもあるような気がして、とてつもなく万人にお勧めできる本ではないかもしれない。でも、数学嫌いやったなー、と思う人でもう一度数学にあたってみたいな、という気持ちがある人は読んでみるといいと思います。

*1:これは「つんどく」で変換されるのだが、これを「つんどく」と読ませることにはかなり違和感がある